日米と中国の衝突が懸念されています。そこで、今回は危機管理の面から分析したいと思います。

その前に、
日米と中国が衝突するかについて、衝突するという立場と衝突しないという立場がありますが、この2つの考え方を整理します。

衝突するという立場はネオリアリストの立場です。また、パワー・シフトやツキディデスの罠(覇権国家と新興国家が衝突)に代表されます。

・物的なパワーのみを考慮する考えはミアシャイマー、ウォルツ等に代表されます。

2人の違いは以下の点にあります。
ミアシャイマーは国家はパワーを最大化すると主張します。

ウォルツはセキュリティ・ディレンマ(自国の安全を確保しようとし、軍拡を行ったものの他国も軍拡を行いかえって安全が損なわれる)を重視します。また、彼は安全を最大化すると主張します。また、極(単極・二極・多極)の理論で説明しようとしました。彼はイランに核を持たせよという主張をしました。核による平和の考え方からです。

・パワーシフト論からは追い抜かれる側が追い抜く側に恐怖を抱き、予防戦争をしうるのではないかと主張します。これは米国からしかけるという前提。

・ツキディデスの罠はアテネが強大化するスパルタに恐怖を抱いたため、ペロポネソス戦争がおきた(J・ハーツはセキュリティ・ディレンマを概念化した)というものである。


衝突しないという立場からは核抑止(MAD:相互確証破壊)が利くという考え方や相互依存関係があげられます。

では、どちらが正しいのでしょうか?
私はどちらも誤りではないものの、決定論に陥ってはいけないと考えます。

危機管理次第ではないでしょうか?危機管理とは、A・ジョージの言葉をかりれば、「強制的な説得」です。

 では、危機とは何でしょうか?国際危機とはK・ウォルツによれば、ある国が起こそうとする変化を、他の国がくい止めようと決意することによっておきるといえます。マクナマラによれば、「今後戦争戦略はありえない。あるのは危機管理だけ」という言葉からも大国間の危機管理の重要性がわかります。危機管理の成功例はキューバ危機、失敗例は太平洋戦争です。


 ただ、トランプ政権はレーガン的な「力による平和」を志向し、中国もパワーを最大化させようとしています。問題は合理的に判断をすれば、戦争は得策ではないことはわかるはずです。しかし、危機管理が失敗すれば、戦争になりえます。
トランプは深慮があるか不明ですし、中国も深慮があるとは思えません。
特に、中国は危機管理がうまいとはいえないでしょう。


中国の主張する核心的利益(特に台湾、尖閣諸島)が侵害された際には武力の使用をためらわないと思われます。中国は歴史上、武力の使用を必要なときにはためらっていません。


どちらにせよ、最初の一発は中国側からでしょうし、少なくとも挑発は中国からです。危機管理により、危機を戦争としない知恵が必要でしょう。


具体的なシミュレーションは多いので他に譲ります。


その際に、国民の世論も大きな役割を果たすため、他人ごとではないのです。



●参考文献
土山實男『安全保障の国際政治学ー焦りと傲り第二版』有斐閣、2014